media arts lab + SCU

制作主体

妖怪画の美学に基づく現代の恐怖表現 3DCG による妖怪表現への展開

 本研究制作では、日本における妖怪表現の歴史と視覚化の変遷を整理し、さらに現代の3DCGに見られる絵画的表現、平面的質感、空間構築、そしてゲームを中心とした恐怖表現の特徴を検討した。これにより、3DCG を用いて妖怪を造形する際にどのような表現が適しているかを考察した。
 検討を踏まえ、「漠然とした不安」や「正体不明の恐怖」を象徴する妖怪として鵺を選定し、伝承にみられる複合的な特徴を参照しつつ、鳥の要素を強めた造形へ再構成した 3D モデルを制作した。完成したモデルを基に、写実的なレンダリングと絵画的処理を組み合わせた平面作品、そして 3D プリンターによる立体作品を制作し、背景表現やライティングを含む複数の視覚的アプローチを試みた。
 制作後に行った鑑賞者との対話からは、平面と立体を併置する展示の効果、絵画的表現と 3DCG を併用する意義への関心、さらには妖怪を取り巻く世界観や物語への期待など、幅広い意見が寄せられた。これらの対話を通じ、造形のみならず、空間演出や文化的背景、物語性を含めて妖怪表現を広げていく必要性が明らかとなった。
 本研究制作を通して、妖怪という題材が持つ歴史的背景と 3DCG の質感・空間構築能力を組み合わせることで、多様な視覚表現に発展しうる可能性が示された。今後は、より広い世界観の構築や他の妖怪への応用、さらには媒体を横断した展開など、3DCG を軸とした妖怪表現のさらなる可能性を探求していきたい

展示風景の記録